『ジャズマスターが欲しい……』
数ヶ月は耐えることができました。偉いぞ自分。
人のギター欲とは恐ろしいもので、次々と新しいシェイプとフィーリング(もとい個性)が魅力的に思えてきて欲しくなってきちゃいます。だって人間だもの。
ワタクシはこの記事を書く気になった時点(2024-05月)で、高校以来の出戻りギター歴が1年ちょいのペーペー。今のところ大して弾ける訳でもありません。しかし既にタイトルのジャズマスで、手持ちのギターは7本目になりました(汗)1年以上ギターを続けられた人は大抵一生ギターを弾く&生涯平均7本以上のギターを所有するそうですが、既にボーダーラインを突破しましたね。
性根が凝り性の人間がギターにハマるとどうしても収集癖が発動します。でも趣味のアイテムは買えるうちに好きなように買っておいてもいいと思うんです。ギターってモチロン楽器ですけど、弾かない時に眺めててもそれはそれでカッコイイし。楽器屋さんからすると実にいい カモ お客さんですね。
私の持論、極論ですが買えるのであればさっさと好きなギターを複数本買ってしまって、『今更後には退けない、早々には辞めれない』という状況を作ってしまうのは、ギター初心者のリタイアを防ぐ良い方法の一つだと思います。コストが1番の障壁ですが、そこはライザップ式ということで。
さて本題。今回購入したジャズマスター(タイプ)は全国展開する【島村楽器】さんのPB、Historyから2024年の3月頃にしれっとリリースされた(記事を書き始めた頃は)中々の最新モデル。突如彗星の如く現れたダークホース的存在で様子見の方も多いと思いますが、結論から言えば『この価格帯では敵なしでは!?』という満足感!

History HJM-Performance(税込¥90,000-)
購入したのはホワイト。マッチングヘッドが神
当機種購入の決め手となったのは何よりもこのルックス。王道をしっかりと抑えたトラディショナルなルックス、より高級感を醸し出す美しいマッチングヘッド。なお、購入に際して比較検討した機種は基本的に本家Fender製品になります。

Historyブランドは ¥80,000〜¥380,000 と幅広い価格帯が特徴。豪華なラインナップにはテレキャス、ストラト、ジャズマス、レスポールも内包。限定生産のエイジングモデルも一部アリ。
元々は『P-90搭載ギターが欲しい』病から派生してジャズマスターを数ヶ月前から狙っており、狙いの色味はサーフグリーンにはじまりサンバースト、ホワイト、薄ピンクと様々……
漫然と明るめの色がいいな〜なんて思いつつも、王道のサンバーストもきっちりマークしていましたよ。
しかしジャズマスター界隈には一体何が起こったというのでしょうか。私が初めてエレキギターに触れた15年前にも、そしてギターをまた買うことになるとは思いもしなかった数年前(2018〜2020ぐらい?)にもジャズマスターの在庫は新品も中古もゴロゴロしていたつもりだったのですが、最近は再ブレイクしたのか中古のタマが全然ありません。しかも新品の値上がりもすごいし。
もういっそのこと、地元の島村楽器で一年以上お迎えを待っている、スクワイアのキャワワな青いジャズマス(P-90×シンクロナイズドトレモロ)を買ってしまおうか。と何度か真面目に考えました。

Squier Affinity Jazzmaster(¥42,020-)
クールな外観と、より実戦的なトレモロを搭載。ピックアップのパワー感もあり価格以上に印象が良かったです。何よりヘッドの本家シェイプが素敵。
実際、このモデルを試奏で鳴らさせてもらった時は初めてのP-90サウンドに期待していたところ、ピックアップのパワー感も自分には心地よく、購入した場合価格以上の満足感を得られそうだと感じてました。でもなんか購入に踏み切るまでのフィーリングにはならなかったんですよね。ギターって不思議!
そうしてジャズマスとの巡り合いを考えること数ヶ月。地方を飛び出して参戦した某3131ライブ遠征のついでに、都内の楽器屋を巡る絶好の機会がやってきました。これは地方在住ギター好きの民としては、数多の在庫からお気に入りを発掘してお買い上げできる千載一遇のチャンスです。地方民はそもそも見られるギターの本数自体に大きな制約がありますので、圧倒的な物量に直接触れられる機会を逃す手はありません。

世界唯一、原宿のFender母艦店。この一等地に自社ビルショールーム。Fenderの現行品が全て陳列。
原宿のFlagship TOKYOはもちろんのこと、その後お茶の水、渋谷、池袋と有名店を周っていき、そしてほぼ最終的に池袋と渋谷で『ついにこれか!?』と思ったのが Fender MIJ 『HYBRID II』のジャズマスター。特にイシバシ楽器限定オーダー品が目に留まり、一目惚れでもう買いそうなところまで行ったんですよね。しかしそう上手くは事が運ばないもので。

Fender MIJ HYBRID II Jazzmaster Arctic White(¥159,500-)
※某社店頭セール時 ¥145,000〜
個人的にこの時はピックガードが好みでなく、レギュラーラインは今回は見送りました。
当該モデルのカラーは『White Blonde』⇩で、⇧の純白なアークティックホワイトとは違う、うっすらピンク掛かったようなホワイトカラー。個人的にはもう理想系ドンピシャ、ピックガードも理想系のベッコウ柄じゃないですか。⇩ね。

もう買う気満々になっており、陳列棚の後ろ側から出して照明の下で見せてもらったところ、ここでまさかのシースルー塗装&アッシュボディであることが発覚ッ……!
ボディ材がアッシュなのは全く気にしないのですが、最初のジャズマスの外観の理想としては、個人的にシースルーの杢目はいただけない。普通に考えれば『ポリエステル塗装のベタ塗りにして欲しかった』という要望の方が少ないんでしょうが、ともかく実は好みのデザインではなかったという事実に打ちひしがれてしまい、とうとう都内ではギターを買ってしまうことはありませんでした。予想外の結末。
そんなこんなで地元に帰り、馴染みの島村楽器に相談し、History HJM-Performanceをまずは取寄せしてもらい、とりあえず現物を確認&試奏してみましょうということになりました。ほぼ買う前提。

HJM-Performance 王道3トーンサンバースト

ガルクラのサイケっぽい、ブルーマイカ系カラーのJM。
マッチングヘッドにピックガードのキラキラがイイ!
ハイ、先に結論を書いちゃってるので2回目になりますが、
『この価格でこの出来は買い』と確信しました!

Historyは税込9万円ながらしっかりアルダーボディ!
今回購入したHJM-Performanceは今更説明不要ですが、比較的トラディショナルデザインを踏襲したジャズマスタースタイルのエレキギター。ボディ材はバスウッドなどでコストダウンを図っているのでは……と思いきや、しっかりとアルダーボディ。サンバーストカラーの杢目を見るとわかりやすいですね。
少し話が脱線しますが、HistoryのFenderシェイプ系エレキギターは2024年現在、ラインナップを大きく分けると四ラインが存在します。
- 最も廉価版にあたるのが今回購入したジャズマスも含まれる『Performance』シリーズ。最安クラスということで中国生産で生産コストを抑えているものの、島村楽器側で仕様については細かく指定されており、OEM品質も安定しており十分なスペックを持つグレードとなっているので、ギター初心者の初めての一本や、二本目以降の選択肢としても十二分に活躍できます。詳細はまた別記事にしようと思いますが、実際にこのラインを買ってみてコスパは確かに良いと感じました。店から一円も貰ってないのでガチの個人評価です。
- その後のHistory製品のラインナップはStandard、Advanced、Premium、とグレードが上昇していきます。巷でよく言われる『フジゲン製History』はこの中の『Standard / Advanced』が該当します。Standardは2023年からダイナ楽器製のOEMラインもスタートしているため少しややこしいのですが、フジゲン製のラインには同社が特許を取得しているCFS(サークルフレッティングシステム)が搭載されていますので、少し注視すれば判別は非常に容易です。いずれもピックアップは独自スペックとのことで、フジゲンの独自ブランド品やFender、ダイナ楽器製のHistory製品とは同一仕様ではなく、あくまでもHistory OEMの独自商品となります、とのこと。ダイナ製は個人的に仕様を尋ねていないのでともかく、フジゲン製は確実にオリジナルとはピックアップの仕様が違うとのことでした。
- 最上位のPremiumシリーズはハンドメイド工房の『TSUBASA Guitar』さんでOEM生産されており、本家と比較した場合はFender American Proffesional IIに匹敵する23-25万円前後(2023-2024)の価格帯ですが、完全ハンドメイドでの組立や調整はもちろんのこと、ピックアップもハンドワイヤリングで機種毎の特性を狙ったコダワリの仕様。特別生産品としてハードレリック版もスポット生産されており、レギュラーラインに囚われない自由なラインナップとハイエンドクオリティが魅力となっています。ここまで考えるとコスパはむしろかなり割安と考えられそうです。
そして話を戻すと、今回購入したジャズマスは最も廉価版となるPerformanceシリーズ。正直、『税込9万円でしっかりジャズマスシェイプが手に入るし、多少のアラは十分妥協できるな』と考えており、端的に言えばちょっと舐めてました。機種は違えど、Fenderは USA / MIJ / 旧Japan製(ダイナ)が我が家には揃っていたため、担当してくれた販売員さんと価格からある程度の造りを予想して取寄せ後の対面に臨んだのですが、その期待は非常に良い意味で裏切られました!

同価格帯最強グレードのギグバッグが付属!
まず、標準装備のギグバッグのクオリティが高すぎる。画像では伝えきれないのがもどかしいぐらいなのですが、Fender MIJのペラッペラな ギグバッグ ソフトケースとは大違い! 現在のMIJシリーズはフェンダージャパン時代から明らかにソフトケースがコストカットされており、両肩で背負うことすらできない中華の安ギターみたいなクソダサいペラケースが付属するのみです。
しかしHistory Performance / RYOGA シリーズのギターに付属するこのギグバッグは十二分に普段の運搬に耐えうるクオリティで、内部のネックピローはもちろん、一応はソフトケースながらも外周はハード目の生地で固められており、少しぶつけたぐらいでは内部のギターになんら影響はありません。
Fender系のギターはストラトはもちろんのこと、ジャズマスター、ムスタングもキレイに収まりますので汎用性も高く、レスポール以外には安心して使用できます。またポケット数も単純に多い&使い勝手が良いので、楽譜やチューナーも纏めて楽に運搬可能。忖度は抜きにして、個人的には1万円ぐらいで是非売って欲しいなというクオリティだと感じました。そして肝心のギターと対面すると……

本記事1枚目の使い回しですが、光沢感のある美しい塗装を纏ったふくよかなクビレが特徴的なボディが現れました。マイカカラーほどではありませんが艶やかな仕上げとなっており、マッチングヘッドによる一体感のお陰か、Fender好きとしては最も気になりそうなヘッドストックのデザインは、まぁ全然良いかな〜という程度には違和感が少なく抑えられています。ピックガードは画像で見えるようなベタの黒ではなくべっ甲柄のようになっており、ルックスの印象を大きく固めてしまうその他のパーツとしては、伝統的なJM系フローティングトレモロブリッジを搭載。ルックスはトラディショナルでスタンダードなジャズマスターそのもの。当機種ではジャズマスのアイコンでもある『トーンブレンダー』が付いているためトグルスイッチは下面に配置されています。使い所よくわかってないけど。
背面を見ると一気にモダンなギター感がUP。ボディは3ピースでしょうか? ワタシのホワイトはベタ塗りなのでここまでは見えませんが、シースルーだと合わせ目が少ない方が気持ち的には嬉しいですが、風の噂ですが本家MIJでもなんか5枚合体バージョンとかあったりするらしいので、気にしたら負けかもしれません。ストラップは未装着なので重量バランスは見れていませんが、まぁ元はフェンダー系だし大丈夫でしょうと期待。

ネックジョイントが超モダンデザイン。
ペグは定番のクラシカルなクルーソンタイプ、ネック調整はヘッド側から対応可能なモダン仕様。当たり前に調整幅もありますので初期調整もナンのその。ペグのフィーリングも良好で、安ギター系あるあるの【空回りするポジションがある】や【トルクが個体でまちまち】なんてことは全く気になりませんでした。きちんとチューニングができる標準的ペグです。

安定のメイプルネックはサテン仕上げとなっており演奏性バッチリ。Dシェイプっていうんでしょうか、60sみたいな丸棒の感じではなく結構平たく感じるネックデザインなので、単音弾きもお茶の子さいさいだと思います。好みと慣れの問題に間違いないのですが、ヘタクソ側の意見としては逆にセーハ多用のコードプレイは少しクセがあるかもしれません。弾ける人からすれば『何が?』という部分でしょうが……笑

指板はローズウッドではなく、代替材のローレル製となっており少し好みが分かれるところ。個人的にはやっぱりローズウッドが好ましいですが価格相応ということで納得はできる部分です。ローレルだと気持ち、滑りが悪いのかなんか『うん?』と違和感はあるんですよね。ピックアップがどうだ~とかサウンド面の良し悪しはわからなくてゴメンナサイ。出音のパワー感は普通にあって、Fender Japan製のムスタングのショボボーンなサウンドとは比べるまでもありませんでした。
指板のインレイはオーソドックスなFender系に忠実になっており、特に操作性に違和感はありません。フレットはエッジは綺麗に丸められており違和感も文句もナシ。普通に良い仕上がりなのであえて触れる点もないですw
個人的に気になったポイントといえば、ナット幅に関する部分なのか、弦同士の間隔が近く感じてしまい、ちょっと演奏しにくい(狭い)かな? という気がしました。Fender USAと比べると露骨に狭く、MIJでももう少し弦間は広かったような気もしますが、指を立てて詰め込むローコードが抑えにくい気がしました。しかし弘法筆を選ばずということで、練習仲間は何の問題もなく演奏しておりましたので、ここは気にしたら負けです。本ジャズマスのデザインが気に入ったらそのまま買いましょう!
ナットはこの価格だったので樹脂だったと思いますが、特にチューニングにも支障は感じません。フツーです。先述の通りペグの精度も至って普通、格安のネガは感じませんでした。ド中華ギターなどで格安ペグを体感すると特に感じますが、本当に普通って素晴らしい!

本モデルを購入した直接のきっかけであるP90タイプピックアップ!
純粋なストラト等のシングルコイルよりもパワー感がありつつも、繊細なニュアンスもちゃんと出せる……ような気がします。少なくともハムバッカーとは全然違うし、Fenderストラトのシングルコイルと比較しても雰囲気はやや異質です。なまじ汎用性が期待できるサウンドが出ますので、コードジャカジャカ系もドライブサウンドもバランスよく対応できそうな印象です。
サドルはローラータイプとなっておりアーミング時のテンションをスムーズに受け流してくれそう(素人感)、本家ではこのサドルの受けが浅いのか弦落ちと呼ばれる問題があるそうなのですが、すご〜くしっかりと弦を支えてくれておりますので、Historyではその心配はなさそうですね。
そしてもう一点、嬉しいのが本モデルは22フレット仕様!
21フレットだと『あと半音あれば……ッ』というシチュエーションが極々稀にありますが、そういう時でも大丈夫。超ハイポジもガンガン攻められます。腕がありませんが()

そしてこちらが本家再現のプリセットトーン機構。私には使い所がさっぱりでございましたが、デキるユーザーがちゃんと使うシチュエーションがあるから装備されているのでしょう。
(でも他のギターにはなくない? と思わんでもなかったり)

公式HPより
……要するにプリセットトーンのスイッチを入れると【ピックアップはフロント固定】で、マスターのトーンやボリューム設定に関係なく、予めトーンブレンダー側で設定していた音色を呼び出すことができるということのようです。リアでガンガン鳴らして、でも次のパートでは繊細なニュアンスを……なんて時に使うのでしょうきっと。マルチエフェクターやスイッチャーを使う方には無縁でしょうが、初めての一本にこの機能があれば、確かに演奏の幅は広がるだろうなぁと思いました。
使い方としては、ダイヤルスイッチ(サムホイールっていうらしい)部分がそれぞれ『プリセットボリューム』と『プリセットトーン』になっていますので、フロントピックアップで好みの音色、音量に調整しておけば、あとはメインと毛色が全然違う音色にチェーンジしたい時に、ピックアップを切り替えるかの如くプリセットトーンスイッチを操作すればオッケー!
その他思い出した点や気付きがあれば今後追記するかもしれませんが、「個人が買ってみた感想」としては以上となります。2025年になって若干値上がりはしたようですが、変わらず10万円未満を未だにキープしてくれていますので、
- 『ちょっとコダワッたジャズマスターが欲しい』
- 『トラディショナルデザインで使いやすいジャズマスターが欲しい』
- 『初めてのギター選びで失敗したくない』
上記、少しでも当てはまった方は買っちゃって後悔しないクオリティだと思いますので、参考になれば幸いです!
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